世田谷の家はお引渡しの前日、竣工写真撮影を行いました。
2年ほど前からお願いしている建築カメラマンの小林さんに来ていただきました。
当日は台風5号が関東の真上を通過する予報でしたので、この日の撮影はほぼあきらめていたところ、
予想に反して朝から快晴!灼熱の天候の中での撮影となりました。炎天下で二人で汗だくになりながらの
撮影です。
小林さんは建築を専門に撮影するカメラマン。
こちらの設計意図や住宅の見せ場などを瞬時に理解し、独特な目線でカットを切っていきます。
彼の写真の好きなところは、いかにも建築写真家が撮影した映像作品にならないところ。(ココ褒めてます)
直接会わない施主さんへの配慮を忘れず、撮影する側の主観ではなく、この家の良さが何であるかを
写真というフィルターを通して施主さんにお伝えするという小林さんの向き合い方に共感します。
建築は動かないもの。それをじっと撮影するのは簡単なようですが、そこにある空間をどう切り取るか。
また空間という人の感性に委ねられる現象をどう捉えるのか。光、素材、奥行をどのように表現するのか。
知れば知るほど奥の深い世界です。
個々の現象に偏りすぎれば、偏った視点からの映像になります。それも映像作品としてはおもしろいです。
でも、それは建築(空間)の限られた側面での視点でしかなく、狭い価値の中だけで写真を表現することは
見る側の「共感」を得られる範囲も自ら狭めることにもつながります。
小林さんの写真は、誤解を恐れずに言えば、素敵なお見合い写真を撮るような感覚です。
人生1度の家づくり。飾らず、ありのままの姿を素直に伝え、自分では気づかない魅力を丁寧に写し取る。
出来上がった写真を見るたびに、これは1本とられた。。と思います。
次回も小林さんに写真をお願いしようと思います。