世田谷の家の工事も残りあとわずか、
8月上旬に完成を迎えます。
本日は指定確認検査機関の完了検査。建築基準法の適合検査となります。
検査員とともに、私も設計者として立ち会います。
当たり前ですが、無事に合格しました。
竣工引渡し前は、各種申請や検査、現場の調整など
とにかく忙しくなります。もう暑いとか言ってられない。。
お施主さんに笑顔でお引渡しを受けていただくために、
現場と力をあわせてラストスパートです!
さ、お水飲もう。。
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DIARY-TSUBOIARCHITECTS OFFICE
世田谷の家(まもなく完成)
2017.07.28 Friday
世田谷の家の工事も残りあとわずか、 8月上旬に完成を迎えます。
本日は指定確認検査機関の完了検査。建築基準法の適合検査となります。 検査員とともに、私も設計者として立ち会います。 当たり前ですが、無事に合格しました。
竣工引渡し前は、各種申請や検査、現場の調整など とにかく忙しくなります。もう暑いとか言ってられない。。
お施主さんに笑顔でお引渡しを受けていただくために、 現場と力をあわせてラストスパートです!
さ、お水飲もう。。
軽井沢の家(庭工事)
2017.07.20 Thursday
2015年に建物の完成を迎えた軽井沢の家。 ゆっくりと進んだ外構工事と植栽工事は、この夏にようやく完成を迎えます。 お庭の工事はガーデンデザイナーの溝口さんが担当。本日も福岡からやってきてくれました。
建築工事を担当したハシバテクノスの丸山さんと上條さんも参加してくださり お庭工事の最終段階をみんなで見届けてきました。
この家は施主のMさん御夫妻の終の棲家としてつくられました。 定年後に東京から居を移されるそうで、軽井沢に暮らすのが昔からの夢だったと話してくださいました。 少しづつご自身の夢を実現されているMさん御夫妻。本当に素敵だと思います。
ウッドデッキや渡り廊下、目隠しの塀や植栽が加わりました。 建物だけだったときよりも、緑が入ると風景が格段によくなり、庭の緑に主役の座を譲るときが やってきたようです。秋にはこの緑は赤や黄色に染めあがり、きっと美しい風景を見せてくれることでしょう。 秋の紅葉の季節にまたこの家の景色を見に来たいと思います。
室内の延長にウッドデッキができました。視線が自然と外へ向かいます。 夏は外のリビングですこし遅めの朝ごはん、ブランチとか最高ですね(笑)
高知・香川への旅(豊島へ)
2017.07.18 Tuesday
高知・香川の夏の旅。本日がいよいよ最終日となります。 直島から高速船に乗ってお隣りの豊島(てしま)に降り立ちました。今回の旅で特に楽しみしていたのは、 ここ豊島美術館(てしまびじゅつかん)を見ることでした。現代美術家、内藤礼の美術館です。 内藤礼の美術作品はとても繊細で内向的、直感的な美しさがあります。妻が大好きな作家です。
まず、この美術館には展示品がありません。まるで液体がそのまま固まったような白い丘。 大きな生き物のように空に向かって開いた口。内部はあるのはモノトーンの洞窟のような空間、 直感的で限りなく自然に近い場所。
事前に写真で見てはいましたが、実際に見てこれほど心揺ぶられる空間には久しく出会っていません。 この場所を訪れて涙が出たという話を聞きます。本当に美しい空間でした。 まさに内藤礼の世界がそこに表現されていました。
また美術館のまわりの回遊歩道(シークエンス)がとてもよかった。 豊かな自然や景色の中を通り抜ける遊歩道、島の景色をゆったりと眺めながら入口へと導かれていきます。 駐車場からすぐに入れるような建物のつくり方とは真逆の手法。 美術館を訪れた人たちへのおもてなしのように感じます。
豊島に来ると、さきほどいた直島のほうがまだ都会に思えてしまうほど利便性には乏しい場所。 港から循環バスが走ってはいるものの、本数も少なく、島の中を移動するには足がないと大変です。 港で教えてもらったレンタカー屋さんで車を借り、島の中をめぐることにしました。 ちょうど空いている車が1台あるということでギリギリセーフ。。 レンタカー屋のおじさん(あきさん)はとても親切な方で、まるで島の観光案内所のように、手書き の地図で美術館への行き方や滞在時間、おすすめのルートなど細かく教えてくださいました。 「ところでお昼ご飯はどうする?」ということで、行きたい食堂を伝えると食堂に予約の電話をしてくれました。 あきさん、ありがとう。
島の食堂101につきました。小さな民家が食堂になっています。 女性店主の家庭的であたたかい雰囲気のお店です。
その時期に島で採れた有機野菜を主人のセンスで料理してくれます。 オーガニックでとてもおいしい島ごはん。大人向けの味付けでしたが、娘もおいしそうに食べていました。 お店のご主人にも本当に親切にしていただきました。直島に戻る船の時間にあわせて港へと向かいます。
この3日間、いろいろなアートや美術館をめぐり、瀬戸内アートプロジェクトを 実際に体験し、中身の濃い旅をすることができました。 もうひとつ、この旅でよい経験ができたのはこのアートプロジェクトに関わる町の人たちとのふれあいでした。
今では多くの観光客を呼ぶまでに成長したこのプロジェクト。瀬戸内の島々はお互いに協力しあい、 それに賛同する企業やアーティスト、建築家などがその手助けとして関わり、世界へと情報発信する取り組み の中で培われた理想的なコミュニティの形がそこにありました。地元の人々の視点と外部からの客観的な視点の融合。 過疎化が広がる全国の地方都市や島々の現実。これに向き合うひとつの答えを見たような気がします。
レンタカーのあきさんから、「またおいでよ。この島の人間はみんなが喜んで帰ってくれるのがうれしいんだ」 と最後に声をかけてくださいました。短い時間でしたがみなさん本当にお世話になりました。 いつか、この瀬戸内の島々にまた会いに来たいと思います。
高知・香川への旅(直島へ)
2017.07.17 Monday
2日目の朝、高松港からフェリーで直島へ向かいます。 今、瀬戸内海周辺では「瀬戸内アートプロジェクト」という大規模な事業が展開されています。 3年に一度開催される「瀬戸内芸術祭」にはこの島々に世界中から多くの観光客が訪れ、 今では世界から注目を集めるアートの聖地へと成長しました。
その入口となる直島は、港のターミナルや町役場、美術館やホテルなどを著名な建築家が手がけ、 島の中には現代アートの作品がいたるところに展示されています。 町役場の周辺地区は民家を改造した「家プロジェクト」というアーティストの作品群が集結し、 そこだけでも相当見ごたえがあります。
また、直島の近隣に位置する豊島(てしま)や犬島(いぬしま)にもすばらしい建築やアートの 展示エリアが展開され、すべて見るには数日は滞在しないとまわりきれません。 観光パンフレットも世界から来られる観光客向けに日本語と英語で表記され、ビジュアル的にも 素敵なデザインに仕上がっていました。
直島港に降り立つとまず出迎えてくれるのは、草間彌生の赤かぼちゃのオブジェです。 妻と娘は草間作品のファンということもあり、この出迎えにはとても興奮していた模様。。 夜になるとライトアップされるらしく、昼間とはまた違った楽しみ方ができます。 そんな訳で今日は港近くの宿に泊まることにしました。
港周辺にはこのようなオブジェが展示されています。夜景もとても美しい。 見るだけでなく、中に入れてくつろげる彫刻。というのも魅力です。
こちらは町の中にある集会所。 伝統的な入母屋屋根や木格子など古典的な和のデザインを使いながらも、 全く新しい現代建築になっています。 ここで町の主要な行事、成人式や冠婚葬祭などが行われます。
また直島には建築家の安藤忠雄氏が手がけた3つの美術館があり、 併設する宿泊施設が点在します。そのほとんどは撮影がNGなので写真はありませんが、 特筆に値するのは、「地中美術館」これは本当によかった! 全貌がほぼ地中に埋まっている美術館ですが、海外の名美術館にも引けをとらない 本当にすばらしい美術館でした。 安藤忠雄氏の底力のようなもの改めてを感じることができました。
直島めぐりをしたあとは、地元の銭湯へ。。(直島銭湯I♥湯) これもアートプロジェクトの名所。もう外観からしてタダモノではありません。 このセンス、まさに大衆アート!独特な世界観におどろきです。。 正面に見えるのが番台で、店主がオリジナルTシャツを着てお出迎えしてくれます。 外国人観光客もジャパニーズ銭湯!と大喜びです。 いや、ちょっと違うんだけど。。とつぶやきながらも、とても楽しかったので よしとします(笑)
7月の平日ではありましたが、直島宮浦港には多くの外国人観光客がいて バスの運転手さんや食堂の方、島の人々が独自の英語でコミュニケーション している様子は見ていて微笑ましかった。
→豊島(てしま)につづく
竹林寺納骨堂を見て
2017.07.16 Sunday
牧野富太郎記念館のすぐ近くに、五台山竹林寺があります。 その境内の奥に、昨年建築学会賞を受賞した竹林寺納骨堂があります、建築家の堀部安嗣氏の設計です。 この建築は今回の旅で是非訪問してみたかった場所の1つ。堀部氏の建築にはどこか寺院や古建築に似た 重厚感と静寂さ。他の建築にはない品格を感じます。数学者である父親の影響なのか、設計には幾何学を 用いることも多く、美しい解き方への挑む姿勢、ご自身の建築への美学がそこにはあるように思います。
納骨堂という建物の性格上、表に建つ建築ではありません。また骨が収められる厳粛な場であり、 自然と人間との関係、宗教的死生観に及ぶこの建物の特性は設計にも相当な難しさがあっただろうと想像します。 そのような課題とどう向き合ったのか、同じ建築設計をしている立場としてとても興味がありました。
境内の脇から入る細い道を歩いていくと、道の奥にその姿が見えてきます。 思った以上に小さな建物。というより小さく見える建物です。 凛とした佇まい。水平に延びる屋根の軒先はまるで紙のように薄く、この世の建築ではない錯覚すら覚えます。
その薄い軒先はとても低く構えられ、軒下空間には整然と柱が立ち並びます。 この構成はスウェーデンの建築家アスプルンドの「森の礼拝堂」を彷彿とさせます。 森の火葬場の中にある小さな礼拝堂で、世界的にも有名なアスプルンドの代表作です。
道には素朴な踏み石が敷かれ、アプローチは道から1mほど下がっています。 低い軒先に向かって自然と頭を下げて入る演出。 また建物を極限まで低く見せることで、主張せず、この場所を借りているという謙虚さが 自然と人間との関係を表しているようにも思えます。
写真はありませんが、この建物の奥には小さな中庭があり、 昼間は誰でもその庭に来てくつろぐことができます。 この場所が好きでよく本を読みにきている人もいるようです。 納骨堂を近寄りがたい雰囲気とはせず、自然と人が関わり、この世の延長としての憩いの場と したことは、この建築の特にすばらしいところではないかと思います。
10年ほど前にスウェーデンの森の礼拝堂を訪れたことがあります。 墓地には生き生きとした森が広がり、その中の小さな礼拝堂は人々の憩いの場となっていたのを思い出します。 スウェーデンと日本では宗教観や死生観は違えど、自然と人間が共存する考え方は似ているのかもしれません。 この課題への堀部氏の解き方はとても美しいと思いました。 設計者である自分が前面に出ることも極力控え、謙虚でありながらも強く、大変美しい建築でした。
→直島・豊島の旅へつづく
高知・香川への旅(牧野富太郎記念館を再訪して)
2017.07.16 Sunday
7月某日、高知・香川への旅をしてきました。 家族と過ごす夏の旅。娘も5才になり、いろいろなことがわかる年齢になってきました。 そこで今回旅先に選んだのは四国地方。高知、香川(直島・豊島)建築とアートをめぐる旅です。 うちの場合、こどもにあわせた旅行はしません。私たちと一緒に課外学習のつもりで娘も自分なりに 何か感じるものがあればよいと思っています。言葉で伝えるより、一緒に何かを経験する時間を 大切にしたいと思います。これも建築家の娘として生まれた宿命ですので仕方ありません(笑)
今回の旅は3日間を予定し、初日に高知、2日、3日で香川(直島・豊島)をめぐります。 高知には、内藤廣氏が設計した牧野富太郎記念館と、昨年に建築学会賞を受賞した堀部安嗣氏設計の 竹林寺納骨堂があります。この2つははずせないルートとして、スケジュールに入れました。
牧野富太郎記念館には個人的な思い入れがあります。この記念館は18年前に完成し、私個人としてここを訪れるのは 今回で2回目です。今から20年前にこの記念館の設計時期に私は内藤廣先生の事務所にお世話になっていました。 そこで毎日この建物のスタディ模型を担当していた時期があります。
当時内藤先生は超多忙な建築家で、大きな仕事をいくつも抱えていました。 その中でもこの牧野富太郎記念館には相当な力を入れていて「今の日本で最も難易度の高い建築、後世の人々に残す 意味のある建物をつくる」と私たちに話してくれたことがあります。
内藤先生とはほとんど話をすることはできませんでしたが、この建築の計画に関わることで内藤先生の建築に向かう 姿勢やその意味を学べたことは今でも本当によかったと思っています。 そんな経験から、いつか自分のこどもにもこの建築を見せたいという思いがありました。
牧野富太郎記念館は植物学者の牧野富太郎先生の記念博物館です。 牧野先生が発見した植物の数ははかりしれません。小さな美しいものを大切にする植物へのまざざし、 その功績を後世に伝えていくための建物です。
高知の杉をつかった有機的で大胆な架構。鉄骨の背骨から肋骨のように延びる木造垂木。 山の稜線を低く這う生物のような形態。日射が強く、台風の多いこの地方の風への影響を考慮した 最も合理的な屋根構造になっています。
牧野先生がこよなく愛した植物たちが主役であり、建物はその影に隠れるように。 完成当初はまだ未熟だった庭木は今では建物の高さを追い越し、建物の入口が木々の間からひっそりと見え隠れしています。 「いずれ自然の中に埋もれていくような建築の姿を目指したい」そう内藤先生が語っていたことを思い出します。 18年ぶりにここを再訪し、前回とはまた違った意味で発見や考えることがいろいろありました。 建築と自然が幸福な関係を築いている場所。娘にも何かを感じてくれたらよいと思います。
→竹林寺納骨堂へとつづきます。
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