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DIARY-TSUBOIARCHITECTS OFFICE
南アルプスを臨むセカンドハウス (小淵沢の家)
020.jpg
今年の春に完成した小淵沢の別荘リノベーション。
先日、写真撮影のためカメラマンの小林氏と現地に行ってきました。
撮影当日は施主のOさんも現地にいらして
事前にインテリアを整えてくださったご様子。ご協力に感謝します。
外観はヨーロッパの古民家のような牧歌的なスタイル。
リノベーションでは外観にはほとんど手を加えず、
今後も維持していくために必要な補修工事のみ行っています。

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内部は冬の寒さを改善するため、セルロースファイバーによる断熱補強を行うとともに
水回り設備の変更や床暖房の設置など性能面で大幅なレベルアップを計っています。

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インテリアは外観同様ヨーロッパの古民家的なスタイルから、シックで現代的な
インテリアデザインに一新しました。間接照明やペンダントライトなど、夜の光を華やかに
演出するとともに、光が柔らかく、美しく見えるよう壁や天井の色を決めています。

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もともと和室だった場所をサロン的なリビング空間に変更しました。
天井の梁を隠すためにつくった低い天井が、ほどよい落着きを生んでいます。
古いアルミの窓を見せたくなかったので、内側に障子を入れてインテリア全体を統一して
見えるようにしています。

障子は両側の壁の中にすべて引き込むことができるので、開ければ外の景色も存分に楽しめます。
今回の障子の升目は少し大きめの割り付けとし、桟もあえて太めにデザインしました。
スウェーデンのソファのもつ素朴な雰囲気との調和や、都会にはない別荘ならではの雰囲気
づくりも大切にしました。

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新たに加えられた玄関の内扉。
さきほどの障子と同じく、室内から玄関ドアを意識させないため
のフィルターであり、寒さ対策としても有効な内扉です。
右が玄関、左はパントリースペース。光や視線は抜いて、
全体の開放感は失わないようにしました。

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家具で制作した洗面化粧台と鏡収納。
別荘のパウダールームとしてあえて暗めの照明にしました。

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非日常的な別荘ならではのトイレ空間のデザイン。
トイレもサプライズ空間に!デザインを決めるときには
施主のOさんと大変話が盛り上がりました(笑)
間接照明の鋭角な光が、壁をアートのように見せています。

切実な寒さ対策からはじまった今回の別荘リフォーム計画。
施主さんのセンスと、私のアイデアを存分に出し合いながら
とても素敵なリノベーションができました。
今度はオールシーズン、また来たいと思うセカンドハウスに
生まれ変わったと大変喜んでいただきました。

写真撮影:ケイ・エスト・ワークス 小林勇蔵


 
posted by Toki Tsuboi | 19:48 | 完成住宅事例 | comments(0) | - |
見晴らし台のある家におじゃましました。
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2014年に竣工した「見晴らし台のある家」に2年ぶりにおじゃましました。
お施主さんご夫婦は、お二人とも車が大好き。ご一緒いただいた工務店のFさんも大の車ファンです。
外観の状態を点検。。のはずが
いつも間にか、ご主人の新車の話題で盛り上がってしまいました。。
奥様と小さな娘さんから笑いながらのツッコミが。。
外観のほうもしっかり点検しましょう(笑)。

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建物が完成してから2年のあいだに、まわりの環境もすっかり変わりました。
竣工当時には見えなかった建物の裏側も今回はしっかり確認できます。
屋根から突出した塔屋もこちら側からよく見えます。ここから家の中の空気が上昇気流で抜けていくので
夏でも2階はほとんど暑くなりません。

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2階の多目的スペースは第2のリビングであり宿泊部屋にもなっています。
親御さんやお友達が遊びに来ても安心ですね。

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この家は1階と2階と吹き抜けでつながり、3階には階段の塔屋があるので
窓が少しあいていれば、自然に空気が流れていくように設計しています。
高気密、高断熱の住宅ですが、今の季節はやはり自然換気に勝るものは
ありません。自然を感じることも大切なことです。

この2年の間にお子さんも生まれ、新たな生活を楽しまれている
様子を拝見することができました。

Kさんありがとうございました。


 
posted by Toki Tsuboi | 21:59 | メンテナンス | comments(0) | - |
私もつくる・・とのたまうので。
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お施主さんに見てもらうための住宅模型を一生懸命つくっていると、
4才になった娘はそれを一緒に見たいという。どうも僕が遊んでいると思っているようだ。

「パパ楽しそうだねぇ。。」

いやいや、パパはコレお仕事なんですけど。。
住宅は紙の図面だけで全体を理解するのは難しいし、立体化することでいろんな課題も見えてくる。
つくりながら検討を加えたりするので、一度作った模型でも、気に入らなければ作り直すこともある。
楽しいというより正直苦しみながら作っているのだが、娘にはこれが楽しそうに見えるらしい。。

「私もつくっていい?」とのたまう娘。

模型材料の切れ端を手に取り、フンフン♪鼻歌を歌いながら、見よう見まねで、
細長い切れ端を組みながら、自分なりに何かをイメージしているようだ。
パパノリチョウダイ! → ハイセンセイ。。
気がつけばこんなモノをつくっていた。

本人曰く「トンボのおうち」

ここには滑り台があって、テーブルがあって、トンボが住むらしい。
彼女なりに、この構成になるまでに3回やりなおしたようだ。
また明日もつくるという。しばらくはこの状況を一緒に楽しむとしよう。

 
posted by Toki Tsuboi | 21:30 | こどもとの生活 | comments(0) | - |
白井 晟一の住宅
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建築家 白井晟一が設計した「杉浦邸」を拝見する機会をいただきました。
白井晟一は建築を学んできた人間であれば、おそらく知らない人はいないでしょう。
昭和、20世紀を代表する大建築家であり、絵画や哲学の分野から建築に転身した
異色の経歴の持ち主。我々にとってはまさに雲の上の存在、それが白井晟一です。
この世を去られてから30年以上経ちますが、未だにファンも多く、
その経歴と作風から「孤高の建築家」と言われています。

白井晟一の代表作についてはここでは詳しく触れませんが、
「自邸」をはじめ、いくつかのすばらしい住宅も設計されています。
今回、その住宅の1つを見学できる機会があるとは。こんなチャンスは二度とありません。
同業の先輩のからの情報から、急いで申し込みをしたものの、あまりの人気に
もう締め切られたあとでしたが、事務局の方々の配慮により、
見学日を1日増やしていただけたのはとても幸運なことでした。

今回拝見する住宅は白井晟一の作品リストにも登場していない幻とも言うべき住宅です。
施主である杉浦さんは他界され、主人のいなくなったこの家はまもなく取り壊しとなります。
解体までの間、杉浦さんご家族のご厚意で貴重な一般公開が実現したようです。
ご家族の方々や企画をしてくれた事務局の皆様には、本当に感謝です。


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路地のようなアプローチ空間、玄関までの導き方が心憎いです。

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庭側から建物を見る。深くて低い軒下空間。屋根に樋はなく、板金のシャープな軒ラインが
水平性を強調しています。雨落ちには砂利が敷き詰められ、内部と外部の境界を緩やかに
繋いでいます。
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建物のコーナーに配置された窓。高さは1m50cmです。
座の目線で風景を切り取ります。
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2階から庭を眺めてみる。窓の前に立ってみると、実は下(庭の方向)を意識した
窓であることがわかります。立った目線では、下の庭が視界に入り、座ってみると
この窓からは空は見えます。巧妙に計算された高さ設計に脱帽です。。
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今の住宅にはなかなか見かけない前室空間。天井高さは何と1m80cm。
壁に取り付けられた和紙の照明が天井を照らします。
黒く美しい唐紙が光を反射して幻想的。。
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住宅の見せ場の1つはやはり階段です。
手摺のディテールも本当に美しい!
フラッシュをつけての写真でしかご紹介できないのが本当に残念。。
でないと。。暗くて写らないので(笑)
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美しいのに手摺としての安定感もあります。
蹴上げと踏み面の寸法もとても緩やかに設計されていました。
おこがましいですが、こんなデザイン、やってみたい。。
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濃茶の天井とブルーグレーの内壁、スリットから入る光が、うっすら室内を照らします。
白井晟一の建築全般に言えることですが、内部はとにかく暗いです。
光を絞りこむことで、空間に深い奥行きをもたせています。明るすぎる最近の建築空間には
ない濃密な空気が漂っていました。それは「遠い時間」が見えるという感覚に近いかもしれません。
白井晟一の建築が哲学的といわれる所以なのでしょう。

本当に貴重な体験をすることができました。

 
posted by Toki Tsuboi | 22:27 | アート・芸術のこと | comments(0) | - |