現場で働く人はみな熱い。
毎日新しいものが生まれてくる熱気のようなものが現場にはいつも充満している。
現場に行くとそれを肌で感じることができるので、私は現場の空気が好きである。
建築は昔からずっと手づくりだった。21世紀になった今でもそれほど変わってはいない。最近はプレハブ式のハウスメーカーもあるが、木造にしろコンクリート造にしろ、世の中の大半の建築はいまだに人の手(ローテク)によってつくられている。それが建築のよさであり、それを支えているのは現場の人たちの熱いモチベーションによるものだ。
仕事がら、建設会社や工務店の社長によくお会いする。偏見もあるかもしれないけど建設業のトップになる人には熱い人が多い。名刺交換をしながら昔はさぞかしやんちゃだったんだろうなあ・・と思わず想像してしまうような人も。上がそうだと部下の方々もやはりその兆候があるような気がする(笑)
現場で働く職人さんの中には気性の荒い人もいる。現場をひとつに束ねるのは大変な労力だ。作業中はいろいろと予期せぬ問題も発生する。近隣からのクレームや、コワイ人の理不尽なイチャモンなど・・。そういう騒動をうまくおさめることも監督さんの力量にかかっている。現場の仕事って本当に大変です。
現場の責任者は施主や設計者の意図を汲み、コストや工期を管理しながら大勢の職人を束ね、夜遅くまで図面を描き、朝は誰よりも早くから現場に乗り込んで現場の安全を確認する。そういう人たちの弛まぬ努力があって建築は無事に完成する。
不思議なことに、建築が出来上がると褒められるのはまず設計者だ。でも本当に褒められるべきはそれをつくり上げた現場の人たちの力だ。設計も確かに重要だが、それをつくり上げた人たちの努力の結晶が建築の一番の価値ではないかと思う。
誤解を恐れずに言えば設計者だって現場の一員。机に向かっているだけではこの仕事は勤まらない。多くの人たちとモノづくりの喜びを分かち合える仕事はとても尊い。そしてそこに集まる人々の人もみな厚いように思う。