友人の建築家、山中祐一郎さんのオープンハウスに行ってきました。
彼と出会ったのは今から14年前のこと。私は学校を卒業し、ある建築家の門をたたいて仕事を手伝わせてもらっていた頃、時を同じくして事務所に入所してきたのが祐一郎さんだった。
彼は留学先のイギリスから帰国してすぐに事務所に入所し、私とは年も近く、彼の気さくな人柄もあって意気投合。一緒に仕事をした時間は短かったけれども、彼とはいろいろな話をした記憶がある。
今ではそれぞれ自分の事務所を構え、がんばっている様子を見るたびに勇気をもらうことも多い。
今回の住宅を見て、彼にとっての14年はとても濃密な時間だったことが伺える。
特筆すべきはリビングの空間を構成する細く群れをなす構造体だ。祐一郎さん言わく「交差連子構造」というらしい。ベイマツを細く裂いたものを連続して組み合わせたもので、家具のような繊細さと面としてのダイナミックな存在感が絶妙なバランスをつくりだしている。
彼はこれをもう何年も前から家具などで検討を重ね、今回はじめて建築の空間として実現した。細部のディテールにもよく検討した痕跡が見える。彼独自の建築観やスケール感が空間全体を包み込んでいるように思えた。
豊かな想像力と地道な研究が実を結んだすばらしい仕事。
竣工おめでとうございます。