私にとっての「コワイ建築」があります。
東京原宿にある国立代々木体育館・・。あの大きな波のような建物です。
私は子どものころ、ここでやっていたスイミングスクールに週2回通っていました。
オリンピックプールが使えるというなんとも贅沢なスイミングスクールでしたが、
教え方はかなりのスパルタでついていくのがやっとでした。
そのおかげで水泳は多少上達はしましたが、
泳ぐことが楽しいと思えることはあまりなかったように思います。
スイミングスクールは夕方17:30〜20:00で、原宿の駅から歩いて10分。
日も沈みかけた誰もいない石畳を歩くと、横目に巨大な波のような建物がおどろおどろしく見え、
その圧倒的な迫力に足がすくむほどコワかったのを覚えています。
さすがに今は建物の前を通ってビビることはなくなりましたが(笑)
子どもの頃に抱いたあのゾっとした感覚は今でも忘れることはありません。
私が建築の道に進んだことで、この建築が学術的にいかにスゴイものであるかというのは
あとになってから知りました。
大人になった私はあの建築を理性で理解し、その学術的な評価を疑うことはありません。
しかし幼い頃の私に聞くと、未だにアレは「コワイ建築」らしいのです。
建築を創り出すことは街や人に大きなインパクトを与えること。
その表現が人々の目にどのように写るのかを想像してみること。
この場所に来ると、幼い頃の私がそう問いかけてくるのような気がします。