世の中は不景気で就職するのも大変なのだろう。人から一緒に仕事をしたいと言われるのは事務所を経営するものとしてはうれしいものだ。しかしながら、残念なことに私たちの事務所ではまだ人を雇うほどたくさんの仕事はないので、申し訳ないと思いながら丁重にお断りしている。
思い出してみると、私が学生だったころも同じような就職難の時代だった。生まれたときもオイルショックがあったりして、どうも不景気に縁がある世代のようだ。いつの時代も同じだけれど、どの会社に入るかということよりも、自分が何の仕事をしたいのか・・を考えることのほうが遙かに尊いことだと思う。私も始めから設計を志ざしたわけではなかったが、気がついたらこの世界にどっぷりとハマリ込んでいた。
学生を卒業してから、私はとある建築家のアトリエに入門した。そこでの勉強は今とても役に立っているけれども、月の給料は本当に少なかったし、帰宅するのはいつも終電。家に帰れない日も少なくなかった。つらいときもあったけれど、悩みながらも前に進むことで自分のやりたいことや仕事観のようなものを次第に見つけられたような気がする。
もし今自分のやりたいことが見つからないのであれば、思い切って海外に旅に出るのもいいだろう。自分自身とちゃんと向き合うことができたなら、どこにいても道は必ず開けていくに違いない。大したことは言えないけれど、お断りした方々の幸運を祈りたいと思う。