先日このプログで書いたTさんの家具が完成しました。今日はその完成した家具をTさんのリビングに設置する日です。設置工事に立ち会うため、私も朝からTさん家におじゃまさせていただきました。デザインしたものは設置まで含めて監理するのが私の大切な仕事です。Tさん、職人の方々、今日はよろしくお願いします。
あいにく今日の天気は雨・・。また風が強いときている。設置する家具を濡らさずに、また新しいマンションを傷つけないように、いつもより慎重な工事監理が必要となります。朝から私も緊張し、各職人さんと共に今日の工程を再確認。
この家具は新しいマンションのリビングにあわせて私たちがデザインさせていただいたもの。主にテレビ台としての機能や、マンションに不足しがちな収納を補うものとして造りつける家具です。ご依頼いただいたTさんはとても豊かな感性をお持ちの方。壁全面の収納をご希望ですが、その家具が空間に圧迫感を生まないことを強く望まれていました。
テレビのまわりには様々な小物が集中します。まずはそれらを表に出さずにすっきりと収納したい。収納量が多くなれば家具のボリュームも必然的に大きくなる。マンションの空間で、生活する人よりも、また周りのインテリアよりも家具が目立ってはいけません。Tさんのリビング空間にこの家具を馴染ませることが必要です。ボリューム感を消しながら自然な存在感を持たせることが今回のデザインの大切なテーマとなります。
いかに自然に見えるか、自然に感じるか・・。これが一番難しい。それは見た目だけの話ではなく「使いやすさ」や「素材・色」も複雑に関係してきます。家具は生活空間をより機能的に、また快適にする「環境装置」だと思っています。生活の背景として目立つことなく、それでいてインテリアを決定する品格を持たなくてはなりません。はじめからそこにあったかのように感じること。そこにデザインの意味があります。
Tさんのお部屋は白を基調にしたインテリア空間。もともと扉や家具はナラ材で構成されている。私たちもそれにあわせて素材は「ナラ材」を選択しました。ナラの強い木目を横目で使い、ホワイトオイルで重みを消します。重みを消したことでガラス面との対比をなくし、あたたかさとクールな印象を同時につくりだすことが出来ました。引き出しは完全引き出しタイプを使用。上から収納物をすべて見ることができ、モノの出し入れを楽にしました。ガラスの収納や白い飾り棚が壁面にアクセントと奥行きを与え、収納のもつ圧迫感を消すことに成功できたと思います。
この家具がTさんの生活をより快適にするための「環境装置」として活躍してくれることを期待したいと思います。Tさんご夫妻、ありがとうございました!
工事の立会い
全部出せる引き出し
奥行きを出す棚、ガラスの収納