照明とエネルギーについて
2007.05.27 Sunday
照明は夜の街や空間を演出する大切な要素です。設計した空間をより良いものにするために、私も色々な明かりの演出方法を考えます。蛍光灯の白々しい光より、温かみのある色の白熱電球のほうが住宅の空間にはよく合います。天井からの光、間接照明、足元の光、照明をコントロールすることでそれぞれの空間に見合った奥行きをつくり出します。しかし、照明はその演出効果と消費エネルギーの関係をぬきにして考えることはできません。一般的な白熱電球は1つで60W〜100Wの電力を消費します。1日つけておいた場合、人間1人が1日で消費するエネルギー2400Kcalにほぼ等しく、それを消費するために酸素を470リットル使い、同じ量の炭酸ガスを排出します。そして電球の光は消費エネルギーの10%の部分で、残りの90%はただの熱に代わって放熱されてしまうのです。1つの空間を演出することがどれだけのエネルギーを消費するのかということをデザイナーは意識することが必要です。昼間は太陽の光を十分に取り入れて余計な電気を使わないですむような空間デザインの提案や、白熱電球ではなく「電球色の蛍光灯」を使って消費エネルギーを1/3〜1/4にする提案等を積極的にすることが必要だと思います。一般の家庭でも電球を蛍光灯に変えるだけで、照明にかかる電気代は計算上1/3〜1/4になります。いままでデザイナーはこの部分をなおざりにしてきた感があります。見た目のデザインやテクニックだけではなく、それが「必要悪」にならないようにすることが大切だと思います。デザイナーに限らず、個人一人ひとりがこのようなことを意識していくことがこれからますます問われてくるような気がしています。