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DIARY-TSUBOIARCHITECTS OFFICE
心に残るもの
学生時代の友人と帝国劇場にミュージカルを観にいきました。ミュージカルを観るのも学生時代の友人に逢うのも久しぶりだったので、とても楽しい時間でした。谷口吉郎氏設計の帝国劇場は風格のある劇場で、中に入ると観る側にも演じるに側にも「ここは特別な場所」を感じさせる心地よい緊張感が漂っていました。舞台が始まると照明が落ち、演じる側と観る側は一体になります。この時ふと劇場の魅力はこの瞬間にあるのではないかと思いました。劇場の主役は「演劇」であること。設計という視点から見れば劇場施設について考えなければならないことはきっと沢山あるでしょう。デザインのこと、お金のこと、集客や経営のこと、面積のこと。どれも大切なことだと思いますが、本当に大事なことは「演じる側と観る側」の関係を自然なかたちでつなげることだと思います。座席が座りにくくて演目に集中できないことがないように、空間には音楽が流れ、さっきまで見えていた壁や天井の素材はそっと消えてなくなるように。演じる側と観る側の世界だけが浮かび上がるように。「今日の舞台は楽しかった」ことが一人ひとりの心に残ることが劇場空間にとってとても大切なことだと思いました。
posted by Toki Tsuboi | 20:16 | 建築のこと | comments(0) | - |
石本藤雄さんの「花」という展覧会に行ってきました。石本さんはフィンランドで活躍するデザイナーで「マリメッコ」のテキスタイルデザインやALABIA陶器のデザイン等を手がけています。今回日本で「花」をモチーフにしたやきものの展覧会が開かれているのを知り、行ってみたくなりました。ギャラリーには陶でできた大きな「花」たちが展示されていて、まるで大きな七宝焼きのような印象を持ちました。彼は「マリメッコ」のデザイナーということもあり、そのモチーフのつくりかたには独特なものを感じます。「マリメッコ」はフィンランドを代表する有名なテキスタイルブランドで、花や自然をモチーフにした美しい柄を作り出しています。生地を使ったカーテンや洋服、バッグやハンカチといった日用品はヨーロッパを中心にとても人気があり、最近日本にもショップができました。そんなデザインのように、ここに展示してある「花」たちは美術品というよりもむしろ日用品のような印象をもって飾られていました。展覧会のタイトルもそのまま「花」。彼の中で「花」は生活の一部であり、美しい「日用品」ということなのでしょうか。フィンランドの生活文化は自然と共にある文化。マリメッコのデザインも、道に咲いている花も、ここに展示してある「花」も彼の中ではきっと同じなのだと感じました。


posted by Toki Tsuboi | 18:37 | 日々のこと | comments(0) | - |
偶然の出会い
20世紀の北欧フィンランドにアルヴァ・アアルトと建築家がいました。もう亡くなってすいぶん時が経ちますが、彼の建築作品がとても好きです。先日1998年に日本で開催されたアアルト展の記念書籍を偶然目にし、高額図書にも関わらずその場で即決購入しました。廃盤になって以来手に入らなかった本なので、このような出会いはなかなか嬉しいものです。アアルトの建築には見た目の派手さや奇抜なデザインはほとんどありません。2年前に彼の建築がどうしても見たくてフィンランドまで出かけたことがあります。そこで感じたものはやさしい空気につつまれた心地よい場所そのものでした。決して押し付けがましくない快適さ。暮らしの中で生まれる彼の感性を実際に肌で感じることができたことはとてもよい経験でした。押し付けがましくないということは簡単なようで、とてもむずかしい「技術」なのかもしれません。そこに居る人のことを一生懸命考えてつくりながら、それを一切感じさせずわからないように消してしまうこと。最後にはアアルトの個性が消え、そこに生まれた場所の個性だけが永遠に生きつづけること。あの場所で感じたことを再び思い出しながら、今この本を手にとり眺めています。


アアルト自邸 撮影:坪井当貴
posted by Toki Tsuboi | 18:40 | 建築のこと | comments(0) | - |
心の風景
桜の花が散り始めています。満開のときよりもこのころの桜はとても情緒的。
家の近くの川には桜並木があり、散った桜の花びらが川の水面を埋め尽くしています。川に沿って歩いていると、瓦の乗った日本家屋の敷地にさしかかりました。桜の花と瓦のある風景は不思議とよく似合います。黒く奥行きのある瓦の風景は桜となぜこれほど似合うのかしばらく考えていました。桜という花には「儚さ」という日本人独特の美意識があります。目で見る美しさよりも心の奥にある心象風景に桜の花を重ねて見ているのでしょう。瓦の風景も身近でなくなってきているにも関わらず、なぜか懐かしい風景。日本人の心の奥にある心象風景です。こんな組み合わせはいつかどこかで見た私たちの遠い心の記憶なのかもしれません。

桜1
posted by Toki Tsuboi | 16:20 | 日々のこと | comments(2) | - |
模型をつくること
ある方から依頼を請けて住宅の模型をつくっています。
設計の仕事の中で、模型をつくることは図面を描くことと同じくらい大切な仕事。学生のころから設計事務所にアルバイトで出入りしていたこともあり、今までいろいろな模型を作らせていただきました。そこで学んだことは模型は絵で言うところの「キャンバス」であるということ。模型に必要以上にいろいろな素材を貼り付けてつくるよりもその空間がどういう場所になっているかわかることが一番大切だということです。そういう意味では模型屋のつくるものとは明らかにつくり方が違ってきます。図面ではわからないことを手で実際につくりながら立体化することで、その場所や環境のイメージが見えてくる感覚はとても楽しいものです。コンピューターが発達した時代でも建築は多くの職人さんの手によってつくられます。CGのような表現も多いけれど、自分の手や感覚を使って考えることが今とても大切なような気がします。


※写真は以前つくった模型の写真です。
posted by Toki Tsuboi | 10:56 | デザインの手法 | comments(0) | - |