世田谷の住宅(Blue shaftの家)が完成しました。
2017.08.06 Sunday
世田谷で設計・監理をすすめていた住宅が完成しました。
「Blue shaftの家」と名づけようと思います。
Blue=青、shaftは動力・伝達用の回転軸という意味があります。
この住宅には屋上までつながる階段シャフトがあります。
シャフトの中にはまわり階段があり、この家のすべての層を貫き
上下階への人の動線や、光と風の動きもコントロールします。
都会の住宅地では、南からの日照や、季節風の取り込みなどすべて教科書どおりにできるとは
限りません。住宅街の中を抜ける風の方向や、光の入り方は他の建物の影響も多く、
予想どおりにはいかないことも少なくありません。
その状況判断は設計に関わる重要な要素であり、高層になる建物の1階にいかに光を届けるか、
またどのように風を取り込むかは、立体的なアイデアが必要になります。
今回は少ない窓でも効果的な明るさの確保と風の抜き方を検討の中心に据えてみました。
結果的に、1階から取り入れた新鮮空気を木の幹のようにシャフトを通じて室内全体に広げるという
シンプルかつ効果的なアイデアを思いつき、設計のコンセプトになりました。
人の身体と同じく、このシャフトが体の中心を貫通する背骨のような役割。
その循環が人の健康を保ち、家全体によい血流を促すことにつながります。
また、屋上から取り込まれた光はシャフトを通じて上から下へ、壁を乱反射して
他の室内の空間に光を送り、間接的な明るさを得ています。
これも自然の力を利用したパッシブなデザイン手法としての1つの提案です。
完成した家を見て、設計時にイメージしたアイデアがうまくいったことを実感できました。
風が通り抜ける格子の建具
階段シャフトから光と風を取り入れる。リビングへとつながるガラス戸
階段シャフトは屋上までつながっています。